こんにちは。ぴろしです。

夏になると高校時代のヤンチャで喧嘩に明け暮れ、怪我絶えなかった日々のことを思い出します。

年齢的に私の高校時代はツッパリ全盛期で、私も不良にあこがれ、服装は短ランにボンタン、頭はもちろんリーゼントでキメていました。

当時の私は暴走族が乗るようなド派手なバイクが大好きだったのですが、親の強い反対で単車には乗れず、自転車で登下校をしておりました。

格好が目立っているのにチャリに乗っている私のおもしろ姿が、恐らく悪い先輩達の目に止まり、ある日授業が終わって自転車置き場にチャリを取りに行ったら、私の自転車のサドルだけがポツンとそこに置いてありました。

その日から私の電車通学が始まりました。

そんな意地の悪い先輩が多い学校の中で、格好はいたって普通、いつも一人で同じ階段に腰を降ろして本を読んでいる、物静かで優しい顔をしているのですが、どこか力強く人を寄せ付けないオーラをまとっている先輩がいました。

それがI先輩です。

高校2年の夏休み前の蝉時雨降る暑い日のこと、授業が終わった私は、同級生のノーマルな友人と一緒に駅に向かうため、学校の近くの土手を歩いていたら、他校の3人組の“本物”の不良達に囲まれてしまいました。

3人組は私達の行く手を阻み、ものすごい形相で私と友人にお金をせびってきました。

喧嘩だけでなく心も弱かった私は、殴られたくない一心で、すぐに彼らにお金を渡そうとしたのですが、友人がいきなり私の腕を掴んで後ろを振り向いて走り出しました。

友人の予想外の行動にかなり慌てながらも、逃げきるしかない、と全力で走って向かった先は、自分達の学校でした。

さすがに学校までは入ってこないだろうと考えたのです。

しかし、不良と書いてワル3人組は、おかまいなしに私達を追いかけてきました。

校門をくぐり、校舎の方へ目を向けると、なんとI先輩がいつもの階段に座って本を読んでいました。

それまでI先輩とは話はおろか、目を合わしたことすらありませんでしたが、超絶大ピンチな私達はなりふり構わずI先輩に向かって、「すみません、助けてください、他校の不良に追われているんです」と声を掛けました。

それを聞いたI先輩は読んでいた本を静かに閉じ、「わかった。あとは俺に任せろ。」と言い、3人のヤンキーのもとへと歩き出しました。

極度の恐怖と緊張で、そこから先のことはほとんど覚えていないのですが、気がついた時には3人の極悪人たちは血だらけになって地面に蹲っていました。

そしてI先輩は何事もなかったかのようにいつもの階段に座り、いつもの涼しい顔で本を読んでいました。

私と友人は階段に座っているI先輩に深々と頭を下げてから、一切怪我をすることもなく無事に2度目の下校を迎えることができました。

後に聞いた話ですが、I先輩、実は空手の有段者だったそうです。

その日を境に私は、短ラン&ボンタン&リーゼントを卒業し、普通の男の子に戻りました。

「強いって、外見じゃあないんだなぁ・・・」

そう気づかされた、ほろ苦い夏の思い出です。

ちなみに、今の私にリーゼントはできません。

毛が絶え、ないもので・・・

魂は老けてません!